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この記事の答え

泉質は、お湯に何がどれだけ溶けているかで分けた「お湯の名前」で、療養泉は決まりで10種類あります。味・におい・色・泡で見分けやすいお湯もあります。温泉療養の目的は、特定の病気を治すことよりも、症状や苦痛を軽くし、健康の回復・増進を図ることとされています。入ってはいけない場合(禁忌症)もあるので、施設の掲示を確かめてから入りましょう。

この記事の見出し(10)
夕方の山あいの露天風呂で、親子が後ろ向きに並んで湯につかり、湯気の向こうに色づいた木々が見える様子(イメージ)

脱衣所の壁に、細かい字の掲示。「ナトリウム-塩化物泉」と書いてあります。湯船で子どもが聞いてきます。「ねえ、これ、何のお湯?」

答えは、お湯の「名前」です。お湯の中に何がいちばん多く溶けているかで、温泉は種類分けされています。環境省の決まりでは、療養に使える温泉(療養泉)は10種類。しょっぱいお湯、苦いお湯、ゆで卵のようなにおいのお湯、体に泡がつくお湯と、名前が分かると、次のお風呂がちょっと楽しくなります。

温泉は、地中からわき出る温水や鉱水などのうち、温度が25℃以上か、決められた成分を一定量以上含むものです。そのなかでも、特に療養に使えるものを「療養泉」と呼び、含まれる成分によって名前が付きます。

ろとまる

掲示の長い名前は、実は組み合わせでできています。「ナトリウム-塩化物泉」なら、「-」の前が、お湯の中でいちばん多いプラスの成分(ナトリウム)、後ろがいちばん多いマイナスの成分(塩化物)の名前です。そこに「含二酸化炭素-ナトリウム-炭酸水素塩泉」のように、特別な成分の名前が先頭に付くこともあります。

お湯1kg(500mLのペットボトル2本ぶん、約1L)に、どれくらい溶けていたら、どの泉質になるのか。決まりの量を、1g(=1,000mg)をものさしにして並べました。

お湯1kgに溶けている量のものさし。1g(1,000mg)から、その1000分の1(1mg)まで、泉質が決まる量を階段のように並べた図解(図解)
ろとまる

調べていちばん驚いたのは、酸性泉の線です。お湯1kgに水素イオンが1mg入っていれば、酸性泉の仲間。1gの1000分の1の重さで、お湯の名前が変わるんです。

大まかに分けると、3つのグループです(目安です。溶けている成分が1,000mg以上で、特別な成分も決まった量以上入っているお湯は、塩類泉の名前の先頭に「含二酸化炭素-」「酸性-」のように特別な成分が付きます)。

グループどんなお湯か泉質
単純温泉溶けている成分が1kgに1,000mg未満
25℃以上
単純温泉
塩類泉溶けている成分が1kgに1,000mg以上塩化物泉
炭酸水素塩泉
硫酸塩泉
特別な成分を含む決められた成分を一定量以上含む二酸化炭素泉・含鉄泉
酸性泉・含よう素泉
硫黄泉・放射能泉

10種類を、からだで感じやすい順に並べました。紹介されている特徴を手がかりにしたもので、同じ泉質でも、温泉ごとに感じ方は違います。表の「確かめた数」は、たびとまりが泉質を公式の情報で確かめた温泉の数です(2026年10月22日に、たびとまりのデータで数えました。泉質が分からない施設も多くあります)。

見分けるヒント泉質確かめた数
体に泡がつく二酸化炭素泉11か所
色が変わる含鉄泉10か所
放置すると黄色含よう素泉14か所
ゆで卵のにおい硫黄泉49か所
ピリッとしみる酸性泉6か所
しょっぱい塩化物泉337か所
苦い硫酸塩泉60か所
あっさり単純温泉241か所
重曹の仲間炭酸水素塩泉101か所
ラドンを含む放射能泉26か所

この数だけを見ると、塩化物泉が10種類でいちばん多いお湯です。気になる泉質が見つかったら、地図から近くの温泉を探せます。

ここから先は、泉質ごとの見出しです。施設ページの泉質の説明からは、ここへ飛んできます。各泉質の最後に、基準にある適応症も書きました。

しょっぱい味がする、塩のお湯。お湯に溶けているものの中で、いちばん多いのが塩化物イオンです。食塩(塩化ナトリウム)にも入っている仲間なので、お湯が口に入るとしょっぱい味がします。

入ると体が温まりやすい(保温効果がある)と言われます。「熱の湯」と呼ばれ、親しまれています。

塩化物泉に日帰りで入れる温泉は、地方ごとの記事で紹介しています。

塩化物泉の泉質別の適応症(浴用)には、きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症があげられています。飲用では、萎縮性胃炎、便秘があげられています。

成分がひかえめな、あっさりタイプのお湯。お湯1kgに溶けている成分が1,000mg(=1g)より少なくて、25℃以上のお湯です。「単純」は成分の量が少ないという意味で、ききめが弱い、という意味ではありません。

刺激はおだやかと紹介されています。わき出たところでpH(酸性かアルカリ性かをはかる目盛り)が8.5以上のものは、「アルカリ性単純温泉」と呼ばれます。

単純温泉に日帰りで入れる温泉は、地方ごとの記事で紹介しています。

単純温泉の泉質別の適応症(浴用)には、自律神経不安定症、不眠症、うつ状態があげられています。

「美人の湯」と呼ばれる、重曹の仲間のお湯。いちばん多い成分が炭酸水素イオンで、重曹(炭酸水素ナトリウム)にも入っている成分の仲間です。ナトリウムが多いものは「ナトリウム-炭酸水素塩泉」、カルシウムが多いものは「カルシウム-炭酸水素塩泉」と呼ばれます。

肌の表面の角質をやわらかくして、肌がなめらかになると言われます。「美人の湯」と呼ばれ、親しまれています。名前が似ている「炭酸泉」は、泡がつく二酸化炭素泉のこと。成分が違う別の泉質です。

炭酸水素塩泉に日帰りで入れる温泉は、地方ごとの記事で紹介しています。

炭酸水素塩泉の泉質別の適応症(浴用)には、きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症があげられています。飲用では、胃十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、耐糖能異常(糖尿病)、高尿酸血症(痛風)があげられています。

口に入るとちょっぴり苦い、硫酸イオンのお湯。いちばん多い成分が硫酸イオンで、口に入ると苦い味がします。

名前に「硫酸」とあってドキッとしますが、泉質名は「成分の中で硫酸イオンがいちばん多い」という意味です。強い酸性かどうかは、また別に決まります。

古い掲示には、昔の名前が残っていることがあります。「芒硝泉(ぼうしょうせん)」はナトリウム-硫酸塩泉、「石膏泉(せっこうせん)」はカルシウム-硫酸塩泉のことです。

硫酸塩泉に日帰りで入れる温泉は、地方ごとの記事で紹介しています。

硫酸塩泉の泉質別の適応症(浴用)には、塩化物泉と同じく、きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症があげられています。飲用では、胆道系機能障害、高コレステロール血症、便秘があげられています。

ゆで卵に似た、独特のにおいのお湯。硫黄(いおう)を含み、少し白くにごって見えることがあります。においはこの泉質の特徴なので、びっくりしても心配いりません。

殺菌力が強いと言われるお湯で、その分、肌への刺激も強めです。お湯1kgに硫黄が2mg(1gの500分の1)入っていれば、もう硫黄泉の仲間です。硫黄が主に硫化水素の形で入っているものは、「硫化水素型」と呼ばれます。

皮膚や粘膜が過敏な人と、皮膚が乾燥している高齢の人は、入浴しないよう決められています。

硫黄泉に日帰りで入れる温泉は、地方ごとの記事で紹介しています。

硫黄泉の泉質別の適応症(浴用)には、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症があげられています(硫化水素型は、末梢循環障害が加わります)。飲用では、耐糖能異常(糖尿病)、高コレステロール血症があげられています。

ラドンという天然の成分が入ったお湯。「放射能」と聞くとドキッとしますが、ラドンは温泉にもともと含まれる天然の成分です。決められた量以上のラドンを含むお湯を、放射能泉と呼びます。

放射能泉の泉質別の適応症(浴用)には、高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎などがあげられています。

しゅわしゅわ、体に小さな泡がつく「泡の湯」。炭酸ガス(二酸化炭素)がお湯1kgに1,000mg(=1g)以上溶けています。入ると小さな泡が体につきます。

炭酸ガスが皮膚から吸収され、体が温まりやすいと言われます。泡がつく様子から、「泡の湯」と呼ばれ、親しまれています。「炭酸泉」と呼ばれるのはこのお湯で、正式な泉質名は二酸化炭素泉です。名前が似ている炭酸水素塩泉は、重曹の仲間が多い別の泉質です。

二酸化炭素泉の泉質別の適応症(浴用)には、きりきず、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症があげられています。飲用では、胃腸機能低下があげられています。

出てきたときは透明、空気にふれると色が変わるお湯。鉄イオンがお湯1kgに20mg以上入っています。出てきたときは透明ですが、空気にふれて時間がたつと、鉄が「酸化」して色が変わります。「酸化」は、鉄が空気にふれてさびるのと同じ仲間の変化です。

含鉄泉の色が変わるようすを2コマで並べた図解。湯口では透明、空気にふれて時間がたった浴槽では色がつく(図解)
ろとまる

同じ含鉄泉なのに、浴槽では茶色になると言われたり、金色に変わると紹介されたり。どっちに見えるのか、行ってたしかめたくなります。

含鉄泉の泉質別の適応症(飲用)には、鉄欠乏性貧血があげられています。

放っておくと黄色くなる、よう素のお湯。よう化物イオン(よう素の仲間)がお湯1kgに10mg以上入っています。火山とは関係のない(非火山性の)温泉に多く、放っておくと黄色くなります。

よう素は、日本が主要な生産国のひとつです。

含よう素泉の泉質別の適応症(飲用)には、高コレステロール血症があげられています。よう化物イオンを含む温泉を、決められた量を超えて飲む場合、甲状腺機能亢進症の人は禁忌とされています(量は温泉ごとに掲示されます)。

ピリッとしみる、すっぱいお湯。水素イオンがお湯1kgに1mg以上入っています。酸性が強いと入浴で皮膚にしみ、口に入ると酸っぱく感じます。

殺菌力が強いと言われるお湯で、その分、肌への刺激も強めです。皮膚や粘膜が過敏な人と、皮膚が乾燥している高齢の人は、入浴しないよう決められています。

酸性泉の泉質別の適応症(浴用)には、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症があげられています。

温泉は「なまもの」と言われます。わき出してから時間がたつと、成分がどんどん変わっていくからです。硫化水素、鉄、二酸化炭素、ラドンのような変わりやすい成分を含むお湯は、特に変化が大きいそうです。

ろとまる

含鉄泉の色が透明から茶色に変わるのも、わき出したあとに成分が変わる「なまもの」だからかもしれません(これはろとまるの推測です)。

温泉は、わき出している場所で、新鮮なうちに飲むもの。持ち出しはやめましょう、と言われています。

「湯の花」も、温泉の豆知識です。湯の花は、温泉の成分が沈殿したもので、さまざまな成分が含まれ、古くから入浴剤として使われてきました。

ここからは、安全に楽しむための話です。

どの泉質でも、次のようなときは入浴しないよう定められています(一般的禁忌症・浴用)。

  • 病気の活動期(特に熱のあるとき)
  • 活動性の結核
  • 進行した悪性腫瘍や高度の貧血など、体の衰弱が著しいとき
  • 少し動くと息苦しくなるような重い心臓や肺の病気
  • むくみのあるような重い腎臓の病気
  • 消化管出血、目に見える出血があるとき
  • 慢性の病気が急に悪くなっているとき

このほか、酸性泉・硫黄泉には泉質ごとの禁忌症があります。ナトリウム・カリウム・マグネシウム・よう化物イオンを含む温泉を飲む場合も、量によって禁忌症が定められています。

入るときの注意を、「入る前」「入っているとき」「入ったあと」に分けました。

入る前は、次の4つです。

  • 手足からかけ湯をして、体を洗ってから入る
  • 食事の直前・直後や、お酒を飲んだあとの入浴は避ける(寝てしまっておぼれたり、ふらついて転んだりするため)
  • 運動のあと30分ほどは、体を休める
  • コップ1杯くらいの水分をとる(上がったあとも)

入っているときは、次の4つです。

  • 浴槽にタオルを入れない(お湯を清潔に保つため)
  • 高齢の人、高血圧や心臓病の人、脳卒中を経験した人は、42℃以上の熱いお湯を避ける
  • 1回の入浴は、なれるまで3〜10分くらいから
  • 高齢の人、子ども、体の不自由な人は、1人きりでの入浴を避けることが望ましい

入ったあとは、体についた温泉の成分を、洗い流さずタオルでふくのが基本です。ただし酸性泉や硫黄泉など刺激の強い泉質で、肌の弱い人は、温水などで洗い流します。入りはじめて3日〜1週間くらいで、気分が悪い・眠れないなどの「湯あたり」が出ることがあります。そのときは入浴を休むか、回数を減らします。

温泉を飲む(飲泉)ときは、飲泉の許可を受けた場所で、1回100〜150mLくらい、1日200〜500mLくらいまで。温泉水は、その場で飲むものです。持ち帰って飲むのはやめましょう。飲むのは、原則として大人になってから。お子さんが飲む場合は、温泉療法医などの医師の指導を受けてください。

適応症は2つに分けて定められています。泉質にかかわらず療養泉に共通する「一般的適応症」と、泉質ごとの「泉質別適応症」(各泉質に書きました)です。

一般的適応症(浴用)として、前半の4つがあげられています。

  • 筋肉や関節の慢性的な痛み・こわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)
  • 運動麻痺における筋肉のこわばり
  • 冷え性、末梢循環障害
  • 胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)

後半の4つは、次のとおりです。

  • 軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症
  • 軽い喘息・肺気腫、痔の痛み
  • 自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)
  • 病後回復期、疲労回復、健康増進

温泉療養について、次の点を理解しておくよう求められています。

  • 温泉の効用は、成分だけでなく、温まること、温泉地の地形や気候、生活のリズムが変わることなど、いろいろなことが合わさって体と心に起きる反応である
  • 特定の病気を治すことよりも、症状や苦痛を軽くし、健康の回復・増進を図ることが目的である
  • 短い期間でも気分のリフレッシュなどの効用はあるが、十分な効用には通常2〜3週間の療養期間が適当とされる
  • 適応症でも、病気の時期や体の状態によっては悪くなることがあるため、専門の医師の指導のもとで行うのが望ましい
  • 成分だけで各温泉の効用を決めることは難しい
ろとまる

読んでほっとしたのは、病気を治すことより、症状や苦痛を軽くすることが目的だと書いてあること。温まって、景色が変わって、ゆっくりするところまで全部ひっくるめて、温泉なんだと思います。治療中の病気がある人は、主治医に相談してから入ってください。

泉質は、地中からわき出る温泉の成分で分けたものです。お風呂の施設には、温泉ではないお湯を使うところもあります。たびとまりでは、施設ページの最初に「お湯の種類」を出しています。

お湯の種類どんなお湯か
天然温泉温泉のお湯
運び湯ほかの場所から運んできた温泉のお湯
人工温泉入浴剤や鉱石で温泉に近づけたお湯
沸かし湯水道水などを沸かしたお湯

たびとまりで、公式の案内から「天然温泉」と確かめた施設は1,174か所です(2026年10月22日に数えた数)。

Q. 泉質は何種類ありますか?

A. 療養泉は10種類です(単純温泉・塩化物泉・炭酸水素塩泉・硫酸塩泉・二酸化炭素泉・含鉄泉・酸性泉・含よう素泉・硫黄泉・放射能泉)。

Q. 温泉に入ると体に泡がつくのは、どの泉質ですか?

A. 二酸化炭素泉です。入ると小さな泡が体につくことから、「泡の湯」と呼ばれます。

Q. 硫黄のにおいがするお湯は、汚れているのですか?

A. においは硫黄泉の特徴です。少し白くにごり、ゆで卵に似たにおいがします。

Q. 単純温泉は効果が弱いのですか?

A. 「単純」は溶けている成分の量が少ないという意味で、効き目の強さを表す言葉ではありません。一般的適応症は、ほかの療養泉と同じく定められています。

Q. 子どもも温泉に入れますか?

A. 高齢の人・子ども・体の不自由な人は、1人きりでの入浴を避けることが望ましいとされています。入る前の水分補給と、食事の直前・直後を避けることも、子どもに同じです。

Q. その温泉の泉質はどこで分かりますか?

A. 施設に貼られている掲示に書かれています。たびとまりの施設ページでも、公式の情報で確かめた泉質を載せています。

泉質は、お湯に溶けている成分で分けた10種類の「お湯の名前」。しょっぱい、苦い、ゆで卵のにおい、泡がつく、色が変わる、と、名前が分かると、次の温泉の選び方が変わってきます。

気になる泉質の温泉を見つけたら、施設ページで日帰り入浴ができるかと営業時間を見てから出かけてください。

効果を保証するものではありません。体調や持病が気になるときは、施設の掲示と医師の案内に従ってください。

出典: 環境省「あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは」(平成31年3月)、環境省「温泉法第18条第1項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等の基準」(平成26年7月1日)、環境省「鉱泉分析法指針(平成26年改訂)」、環境省「新旧泉質名対照表」、青森県「温泉の種類と効能」(2026年10月18日確認)

料金・設備・営業期間などは変わることがあります。お出かけの前に、各施設の公式情報をご確認ください。記事のまちがいは情報の報告から知らせてください。

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